ケアサービス「あんのん」

  • 「あんのん<安穏>」(ビハーラ瑞興寺)

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あんのんスタッフ日記

スタッフの仕事の様子を日記形式でご紹介します。
 ご利用者の方が快適に過ごされるよう、努力している思いを綴ります。

※写真はイメージです。内容とは関係ありません。

あんのんスタッフ日記

ある利用者(Aさま)のこと

 20XX年の12月末、包括支援センターから、依頼があった方、男性、78歳。

 若い頃は散髪屋さんをされ、その後は、下着の会社を興して、羽振りが良かったようだ。お母さんと、お嫁さんの中が悪く、お嫁さんに、「私を選ぶか、お母さんを選ぶか。」と言われ、お母さんを選び、離婚されている。息子さんは2人おられるが、2人とも、東京に住んでおられる。

 包括支援センターからは「特別養護老人ホームに数年前より入所中の、お母様(105歳)のところに、以前は良く行っておられたのに、最近は行けなくなっている。心配だから、『あんのん』で、ケアマネの支援をしてもらえないか」との依頼であった。
 いかにも現代的な「老々介護」の一つと言えよう。

 早速、包括の責任者と打ち合わせをして伺った。Aさんは市営住宅の4階に一人暮らし。「最近自宅で転倒し、骨折等の大事には至らなかったが、以前から腰痛もあり体調が悪くなった」との事。
 お母様を自宅で介護されていた時の介護事業者の印象が良くなかったらしく、自分が介護保険を利用されるのに、かなり後ろ向きであった。
 しかし、部屋もかなり汚れて、散らかっており、買い物に行けないので、本当に困った時には、近所の人に電話をして頼まれていた。気兼ねもあったようで、食事も充分には摂れていない様子だった。

 包括の責任者と一緒に説得し、取りあえず介護認定を受けて頂いた。掛かり付けの主治医にあいさつに行くと、「最近受診されていないので、入院しておられるのかと思っていた。意見書は書くが、入院を勧めて欲しい」との事で、Aさんに先生の意向を伝えると、「入院はしない。なるべく受診して、点滴を再開してもらう」との返事だった。
 介護保険の認定調査を受けて頂く事には了解され、付き添った。認定調査の様子で「自立」にはならない、と判断し、サービス担当責任者と一緒に、ご本人宅を訪問して契約し、20XX年の1月よりヘルパーを派遣して、家事援助をさせていただくことになった。

 室内や台所には、かなりゴミや不用品が多くあった。ゴミ置き場は一階にあり、そこまで持ち出せないようだった。そこで大阪市が、一人暮らしの高齢者を対象に実施している[ふれあい収集]をお願いし、4階に大きなゴミ箱を設置した。
 週3回、ヘルパーが訪問し、買い物などの支援と共に、掃除を実施したので、ゴミも少なくなり、居室も片付けられて、台所もきれいになり使いやすくなってきた。食事の準備は、電子レンジを利用したり、フライパンを使ったりして、ご自分で何とか頑張っておられた。

 訪問当初、朝起きるのが遅く、2回の食事がやっとで、「10kg程やせた」と話しておられた体重も、少しづつ食欲も出てきて増えてきた。時には、杖をつきバスに乗って、お母様の大好物の、酢昆布を持って面会に行かれるようにもなった。
 通院は、自転車にまたがり、足で漕いで、近所の医院に週2回通っておられる。歩行器の利用を勧めたが、拒否された。歩行器はかっこうが悪いそうである。
 最初の訪問から約1年、Aさんは「本当に来てもらって良かった。あのままだと、話をする人がいなかったので、うつ病になっていた」と話されている。

 20XX年11月、105歳のお母様が施設でお亡くなりになり、「まあ~、自分より先に逝ってくれたのは有難い事やけど、さびしい。もっと生きていて欲しかった」と悲しい顔で仰っていた。
 Aさんとのご縁は、まだまだ続く。

 まさに「あんのんのお世話」を象徴する現場である。

あんのんスタッフ日記

89歳の利用者さんの俳句をご紹介します

 ―お寺の夜桜BBQに参加して吟める
山門に 集いし夜の 落花かな

 ―友が亡くなり、詠める
寂しさは 別れの言葉 なきままに
野辺の送りに 秋の風ふく

あんのんスタッフ日記

「あんのん」が在宅で末期の看取りを致しました。少しご紹介します

 20XX年、包括支援センターより利用者Kさんを紹介され、私、ケアマネージャーMが、支援させて頂く事となりました。

 Kさんは、72歳の女性、4歳年上のご主人と2人暮らし。肝硬変、糖尿病、圧迫骨折等の病歴があり、腎機能の低下もあります。訪問当初は、ご自分で、家事も出来る範囲でされ、通院、買い物等は、ご主人が援助されていましたが、その後、病状の悪化で、入退院を繰り返しておられました。

 20XX年1月の退院時より、訪問リハビリと、週一回の訪問看護での病状観察、医療の相談。週2回のヘルパーの訪問でシャワー介助、掃除等を利用されており、病状は一進一退で経過していました。調子のよい時は、子供さん達に介助され、車椅子でスーパでの買い物等、外出を楽しまれ、「昨日ハルカスに連れて行ってもらい、洋服を買ってもらった」と、うれしそうに話されている時もありました。
 しかし、6月のある日、訪問看護師より「体調が悪そう」との報告を受けていましたが、早朝、ご主人より電話があり、「近所の主治医の所に相談に行くので、妻を観ていて欲しい」との事で訪問しました。Kさんの意識が少し薄れておられる感じがあり、ご主人は府立病院での通常の受診を考えておられましたが、主治医との相談で、急きょ救急車を依頼し、希望されて、私も同乗して病院に向かいました。

 救急外来の前で待っていると、ご主人より「診察室に入って欲しい」と言われ、一緒に、医師の病状説明を受けました。「現在のKさんの状態であれば、自宅で看るのは難しいでしょう。入院治療となりますが、家に帰れるかは、難しいです」と言われ入院されました。しかし、Kさんの生命力はすばらしく、少しずつ回復され、1ヶ月位で退院され、在宅での看護介護が再開されました。
 ご主人は日頃から、『妻には自分より、1日でも良いから長生きして欲しい。でも、人の命は、医者でも分からないと思う』と話しておられました。肝臓、腎臓、糖尿病と様々な食事制限のある中で、Kさんと相談しながら、ご主人は、なるべくお好みの食事の準備をされたりして、穏やかにすごされていました。しかし、病状は少しずつ悪化し、全身の痒みが強く、ご主人は漢方薬を準備したり腐心されていました。全身の浮腫の症状も出現し、主治医の指示で訪問看護師が導尿処置を実施し、体調は少し楽になられたようでしたが、浮腫の症状の改善目的で、8月にまた入院されました。

 入院して、浮腫は少し軽減し、排尿は出来るようになったものの、肝臓の数値は一段と悪くなり、医師より、「余命は1週間から10日」と告げられました。Kさんは「おしっこが出るようになったから、家に帰りたい」と言われるようになり、子供さん達も「連れて帰りたい」と言われていました。医師はご主人の介護の負担を心配されたりして、退院が決まらないうちに1週間位が過ぎたある日、Kさんが直接医師に「家に帰りたい」と訴えられました。医師は「もう少し良くなってから」と言われたのですが、ご家族で相談の上、ターミナル(末期)を自宅で迎える事を決断され、退院を決められました。
 退院前日に、病院で病状説明があり、在宅での支援について検討されました。ご主人は、その時改めてKさんの余命の少ないことを、実感された様子でした。

 自宅に帰り少し落ち着いた頃、お孫さんが「僕、誰かわかる?」とKさんに話しかけると、「O君やろ。」と小声で答えられ、O君は「覚えてくれてる」と大喜びでした。また、私がご主人の介護負担をねぎらっていると、ご主人は「わしは、この人の手のひらで、コロコロと転がされていたんやなあ」と話され、横で聞かれていたKさんの、うれしそうな笑顔が見られました。
 2日後、訪問時にご主人が、「今朝、早ように、今かなぁ、と思ったので、昔からのいろんな話をして、長い間支えてくれてありがとう、と伝えた。返事は無かったが、分かっていると思う」と話されました。その後少しずつ、呼吸数が少なくなり、娘さん、息子さん、お孫さん達、皆さんが代わる代わる、Kさんの手を握り「ありがとう」を繰り返しておられました。そうしてご家族に見守られて、命終されました。

 素晴らしい看取りを、支援させて頂き、私も感激で胸がいっぱいでした。

あんのんスタッフ日記

スタッフHより

 ある80代のご夫妻の方を訪問させていただきました。お二人とも程度の差はありますが、認知症を患われています。今日は家事援助が目的です。掃除、買物、デイサービスへの送出しなどを行いました。

 皆さんもご存じのように、認知症の方が増えていきつつあります。このご夫妻のようにご利用者の方でも認知症の方は少なくありません。行政も様々な施策を考えていますし、みんなで支え合っていけるよう、我々ヘルパーたちも関心を持っています。

 ところで、このご夫妻。奥様の体調が悪くなって、検査のため入院されています。普段は、些細なことでケンカになったり、あまり体が動かない奥様のためにお世話をして、イライラすることの多かったご主人。いざ、奥様が入院されるとやはり心配になり、“お見舞いに行きたい気持ち”と“会えばまたケンカになったり、奥様に叱られそうで行きたくない気持ち”を、ヘルパーに訴えられていました。

 何とも健気で、ご主人の優しい一面に接して、心温まる思いがしました。

あんのんスタッフ日記

スタッフNより

 Mさん(女性・85歳)のお宅に伺いました。Mさんは膝関節や腰などが悪く、長時間歩いたり立ったりするのがむずかしい方です。

 先日、ケアマネージャーが訪問した時、このような会話となりました。
 「いつも、ヘルパーさんにお供えのお菓子を頼んだら、帰ってきたら、すぐにそのお菓子を主人の仏壇に供えてくれて、手を合わせてくれる。気持ちが無いと出来ない事や。その気持ちが本当にうれしい」と、涙をながしながら、喜んで話されていました。ちょっとした心遣いがご利用者に喜ばれることを改めて感じました。

 また、別の若いヘルパーさんに「うめやき」を買物で頼んだら、「え、何それ?見たことない!」と言いながら、スマホで調べていたことを笑いながら話されていました。(ちなみに、「うめやき」はおでんの具などに使われる、梅の花型の甘味の練り物のことです。)

 時代が変わると、食べ物も変わって来るんだな~と思いました。

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